ポートフォリオ入札戦略のメリット・デメリットは?P-MAXとの違いや設定方法も解説
ポートフォリオ入札戦略の基本からメリット・デメリット、成功事例や失敗事例までを徹底解説!Google広告やP-MAXとの違いや具体的な設定方法、Yahoo広告での活用ポイントも紹介。広告運用を効率化し成果を最大化するためのヒントが満載です。
▼この記事でわかること
- ポートフォリオ入札戦略とは?
- ポートフォリオ入札戦略のメリットとデメリット・成功事例と失敗事例
- ポートフォリオ入札戦略の設定方法など
ポートフォリオ入札戦略とは?
ポートフォリオ入札戦略とは、複数のキャンペーンや広告グループ、キーワードをまとめて、共通の目標に基づいて全体を最適化する入札戦略のことです。Google広告の場合、目標CPA、目標ROAS、最大化クリック数などのストラテジーを選択し、全体で目標を達成することを目指します。
ポートフォリオ入札戦略のメリット
ポートフォリオ入札戦略のメリットを確認しましょう。
全体最適化が可能
複数のキャンペーンをまとめることで、全体で不足分を補充しながら目標の達成が容易になります。
データ分散の問題解決
個別キャンペーンでデータ量が低くても、複数のキャンペーンをまとめることでデータ分散を負担し、アルゴリズムがより正確に機能するようになります。
運用コストの削減
複数のキャンペーンを個別に管理する必要がなくなり、運用コストの大幅な削減が可能になります。
ポートフォリオ入札戦略のデメリット
対して、デメリットもあります。事前に把握することで避けられるはず!必ず押さえておきましょう。
全体の成果が偏る可能性
一部のキャンペーンに運用資源が偏り、その他のキャンペーンの目標達成が難しくなる場合があります。
データの空間が大きい場合、最適化が進まない
入札の基準として利用されるデータの対象とする価値が、大きくずれる場合、全体最適化が進まないリスクがあります。
ポートフォリを入札戦略とスタンダード入札戦略の違い
メリット・デメリットを踏まえた上で、スタンダード入札戦略とポートフォリオ入札戦略の違いを確認すると、このようになります。
スタンダード入札戦略とは?
スタンダード入札戦略は、個別のキャンペーンや広告グループに適用される入札戦略です。この戦略では、特定のキャンペーンごとに設定された目標(例:目標CPAや目標ROAS)に基づき、各キャンペーン単位で最適化が行われます。管理が比較的シンプルで、特定の広告グループやキーワードに厳密なコントロールが必要な場合に適しています。ただし、データ活用が個別キャンペーンに限定されるため、複数キャンペーンの全体最適化には不向きです。
ポートフォリオ入札戦略の成功事例
メリットや他の入札戦略との違いからポートフォリオ入札戦略の特徴は押さえられたと思います。ですが、肝心なのは実際に活用するとどれくらい事業成長するか?ですよね。ということで、以下より成功事例を紹介いたします。
ECサイトの例
複数の商品カテゴリをまとめて目標ROASを設定し、高い比率のキャンペーンに優先的に予算を配分。
具体的には、年間広告費1,000万円をかけるECサイトで、「家電」「家具」「衣料」のカテゴリに対し、全体で目標ROAS300%を設定。家電カテゴリが効率的に売上を伸ばせることがデータで判明し、広告予算の60%を集中投下したことで、家電カテゴリの売上が前年対比150%に達し、全体のROASが320%に向上しました。
ローカルサービス業の例
有料サービスの複数のキャンペーンをまとめ、目標CPAを達成しつつリードを最大化。
具体例には、地域限定のリフォーム会社がリフォームの種類(キッチン、バスルーム、外装)ごとに3つのキャンペーンを運用。目標CPA10,000円を設定したところ、バスルームキャンペーンのCPAが7,000円と最も効率的であったため、全体予算の40%を集中配分しました。結果、1か月でリードが150件増加し、全体のCPAも9,500円に抑制できたようです。
ポートフォリオ入札戦略の失敗事例
失敗事例も押さえておきましょう!
設定目標が現実的でない場合
目標CPAや目標ROASが高すぎて、広告の掲載自体が大きく制約された事例があります。あるスタートアップが広告予算30万円で目標ROAS500%を設定したものの、競合が多い市場でクリック単価が高騰し、広告のインプレッション数が著しく低下したそうです。結果、最終的に目標ROASを達成できず、広告が非効率のまま終了しました。
複数のキャンペーンが入札基準として適さない場合
目標が違いすぎるキャンペーンをまとめたため、基準の乱れが起こった事例があります。異なるターゲット層(若年層向けファッションとシニア向け健康食品)を含むキャンペーンを同一の目標CPA2,000円で設定したところ、ファッションキャンペーンはCPA1,500円で成功する一方、健康食品キャンペーンはCPA4,000円を超えるなど、全体でのパフォーマンスが低下した事例があります。
失敗事例からわかるポイント
- 目標値は現実的かつ達成可能な範囲で設定すべし
- 高すぎる目標CPAやROASは、広告の配信を制約し、成果を得られないリスクを高めます。過去の実績データや市場状況を踏まえて現実的な目標値を設定することが重要です。
- キャンペーンごとの目標やターゲットの整合性を確保するべし
- 異なるターゲット層や目標を持つキャンペーンを無理に統合すると、全体最適化が進まず、特定のキャンペーンが非効率になる可能性があります。同質性の高いキャンペーンをまとめるべきです。
- 市場環境や競合状況を把握するべし
- 高いクリック単価や競争の激しい市場では、柔軟な設定と予算管理が必要です。市場動向を考慮した目標値の見直しを定期的に行いましょう。
これらを踏まえ、設定時には現実性・適合性・柔軟性を重視することが成功への鍵です。
ポートフォリオ入札戦略の設定方法
ポートフォリオ入札戦略の設定方法をお伝えします。
入札戦略の作成
- Google広告にログインし、左側のメニューから「共有ライブラリ」に移動します。
- 「入札戦略」を選択し、「新しい入札戦略を作成」をクリックします。
- 提供されるオプション(例:目標CPA、目標ROAS、最大化クリック数など)から、広告目標に最も適したものを選択します。
適用対象の選択
- 「適用対象の選択」画面で、ポートフォリオ入札戦略を適用するキャンペーンや広告グループ、またはキーワードを選択します。
- 適用する項目が異なる場合、目標や予算に基づいて構成を検討します。
- 例:高ROASを重視する商品群をまとめる、または低CPAを狙うリードジェネレーションキャンペーンを統合する。
目標の設定
- 過去の実績データ(例:過去30日間のCPAやROAS)を確認し、現実的な目標値を設定します。
- 例:平均CPAが1,200円の場合、目標CPAを1,000円に設定。
- 業界の標準値や競合データを参考に、達成可能で合理的な数値を目指します。
データ観測と実行
- ポートフォリオ入札戦略を開始後、Google広告の「レポート」タブでパフォーマンスデータを定期的に確認します。
- 学習期間(通常は1〜2週間)を考慮し、早急な変更は避けます。
- 必要に応じて目標値や適用対象を調整し、最適化を継続します。
ポートフォリオ入札戦略の上限CPCについて
上限CPCはポートフォリオ入札戦略内で自動的に最適化される場合が多いですが、手動で上限を設定することも可能です。過剰なクリックコストを防ぎたい場合に設定するのがポイントです。
ポートフォリオ入札戦略とP-MAXの違い
ポートフォリオ入札戦略とP-MAXの違いについて解説します。
P-MAX(Performance Max)とは?
Google広告の完全自動化キャンペーンで、単一のキャンペーン内で検索、ディスプレイ、YouTube、Gmail、ショッピング広告など複数のチャネルを統合して最適化を行います。
▼関連記事
P-MAXとは?メリットデメリットや他Google広告キャンペーンとの違いについて
※上記サイト内リンクを有効にしてください
主な違い
使い分けのポイント
ポートフォリオ入札戦略がおすすめのケース
- 各キャンペーンの詳細な設定や運用を保持したい場合。
- 同じ目標(例:目標CPAや目標ROAS)を持つ複数のキャンペーンを全体で最適化したい場合。
- データが限られている複数のキャンペーンをまとめて効率化したい場合。
P-MAXがおすすめのケース
- 運用工数を減らしつつ、複数チャネルでの成果を最大化したい場合。
- ECサイトなどで、Googleショッピング、YouTube、検索広告を横断して売上を最大化したい場合。
- 広告配信の詳細なコントロールよりも、成果重視で簡便な運用を求める場合。
どちらを選ぶかは、アカウントの構造や目標、運用スタイルによります。詳細なコントロールが必要ならポートフォリオ入札戦略、成果重視かつ簡便さを求めるならP-MAXが適しています。
Yahoo広告のポートフォリオ入札戦略
Yahoo広告でもポートフォリオ入札戦略が利用可能で、Google広告と同様に複数キャンペーンを統合して目標を設定できます。ただし、プラットフォームの特性や提供されるデータが異なるため、戦略の適用方法には若干の調整が必要です。
全体の総括
ポートフォリオ入札戦略は、複数のキャンペーンや広告グループを統合して全体最適化を目指す強力な手法です。データが分散しがちなアカウントや、目標を共通化したい場合に特に有効です。ただし、適切な設定やデータ観測が必要であり、構成次第では成果が偏るリスクもあります。上手に活用することで、広告運用の効率化と成果向上を同時に達成できるでしょう。