CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?マーケティング事例も紹介

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)について詳しく解説します。ITマーケティング上、より重要度を増してきたCDPですが、導入の難易度が高いのもまた事実です。数多くのCDP導入支援をしてきた当社が、成功例・失敗例含め、詳しく解説いたします。

2024-06-30
Category:
CDP

▼この記事でわかること

企業様へ様々なCDPツールの導入から、そのデータを活用したマーケティング支援を生業とする当社が、数ある経験と成功・失敗事例をもとにCDPについて解説します。

もちろん、CDPの基本の「き」からわかりやすく紹介しています。これからCDP導入を検討している人は、ぜひ最後までご覧ください。

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は、顧客データを一元管理し、統合するためのテクノロジーソリューションです。企業が様々なチャネルやデータソースから収集した顧客情報を一つのプラットフォームに集約し、それを解析・活用することで、よりパーソナライズされた顧客体験を提供することを目的としています。

▶︎ CDPの重要性=ITマーケティング戦略の基盤となる

CDPの重要性は、顧客データを一元化し、それを基にした深い顧客理解を通じて、パーソナライズされたマーケティング戦略を実現できる点にあります。これにより、顧客体験の向上、マーケティング効率の最適化、そして最終的には顧客ロイヤルティの強化とビジネス成長を促進することができます。

CDPと他のデータ管理ソリューションの比較

企業が自身のビジネス目標に合わせて、最適なデータ管理ソリューションを選択することはとても重要です。ここではそれらに該当する、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)、DMP(データ管理プラットフォーム)、CRM(顧客関係管理)の違いを整理します。

いずれも顧客データを扱うソリューションですが、役割、機能、そして使用されるデータの種類において異なりますので、それらに注意しながら比較してみましょう。

▶︎ CDP(カスタマーデータプラットフォーム)

  • 目的: 顧客データを一元化し、全顧客にわたる360度ビューを提供する。
  • データの種類: 第一者データ(企業が直接顧客から収集したデータ)を中心に、オンライン・オフラインの顧客行動データを統合。
  • 利用者: マーケティング部門を中心に、顧客体験のパーソナライズや顧客理解の深化を目指す全社。
  • 特徴: 顧客の詳細なプロファイル作成、リアルタイムデータ処理、プライバシー保護に対応。

▶︎ DMP(データ管理プラットフォーム)

  • 目的: 広告配信の最適化とターゲティングを目的とし、主に匿名のオーディエンスデータを集約し管理。
  • データの種類: 第三者データ(外部から購入したデータやパートナーからのデータ)やクッキー情報を使用し、主にオンラインの行動データに焦点を当てる。
  • 利用者: 広告運用担当者やデジタルマーケティング担当者が主に使用。
  • 特徴: 匿名データを用いた広範なオーディエンスセグメンテーション、広告ターゲティングとリターゲティングに強み。

▶︎ CRM(顧客関係管理)

  • 目的: 顧客情報の管理と、セールス、マーケティング、カスタマーサービスのプロセスを支援。
  • データの種類: 企業と直接的な関係を持つ顧客の個人情報、購買履歴、コミュニケーション履歴などの第一者データ。
  • 利用者: セールスチーム、マーケティングチーム、カスタマーサポートチームなど、顧客と直接的な関係を持つ部門。
  • 特徴: 顧客とのやり取りの履歴管理、セールスプロセスの支援、顧客サポートの改善に焦点を当てる。

▶︎ 比較の要点

  • データのプライバシー: CDPとCRMは第一者データを中心に扱い、顧客との直接的な関係を重視しますが、DMPは主に匿名の第三者データを活用し広告配信に利用します。
  • 目的の違い: CDPはマーケティングのパーソナライゼーションと顧客体験の向上に重点を置き、CRMは顧客との関係管理、DMPはオンライン広告の効率化に特化しています。
  • データの活用方法: CDPとCRMはリアルタイムの顧客データを活用してパーソナライズされた体験を提供することができる一方で、DMPは広告ターゲティングとセグメンテーションに強みを持っています。

CDPの核となる機能

CDPはデータの「収集」「統合」「分析」「活用」の4軸で捉えるとわかりやすいです。それぞれの機能について解説します。

▶︎ データ収集

CDPは、顧客に関するデータを様々なソースから収集する機能を持ちます。これにはウェブサイト、モバイルアプリ、ソーシャルメディア、POS(販売時点情報管理システム)、CRMシステム、Eメールマーケティングツールなど、オンラインおよびオフラインの接点から得られるデータが含まれます。目的は、企業が持つ全顧客データの「完全なビュー」を作成することです。重要なのは、CDPが第一者データ(企業が直接顧客から収集したデータ)を中心に集める点です。

▶︎ データ統合

収集したデータは、顧客の一意のプロファイルを作成するために統合されます。この過程では、異なるソースから得られる顧客データを照合・統合し、重複や矛盾を解消します。結果として、企業は各顧客に関する単一の、真実のソースを持つことになり、これがパーソナライズされたマーケティング活動の基盤となります。データ統合は、顧客体験の一貫性を保証し、より個別化されたアプローチを可能にします。

▶︎ データ分析

CDPは、統合されたデータに対して高度な分析を行い、顧客行動の洞察やトレンドの特定、顧客セグメントの作成を可能にします。この分析を通じて、顧客の興味やニーズ、将来の行動を予測することができます。マーケティングチームはこれらの洞察を利用して、より効果的なキャンペーンを計画し、顧客エンゲージメントを高める戦略を立てることができます。

▶︎ データ活用

最終的に、CDPは収集・統合・分析されたデータを実際のマーケティング活動に活用するための機能を提供します。これにはパーソナライズされたメールキャンペーンの実行、ウェブサイトやモバイルアプリでのパーソナライズされた顧客体験の提供、ターゲット広告の配信などが含まれます。また、リアルタイムの顧客行動に基づいてマーケティングメッセージを最適化する能力も、CDPの重要な機能の一つです。

CDPを使用することで、企業は顧客データをより効率的に管理し、より個別化された顧客体験を提供することが可能になります。これにより、顧客満足度の向上、エンゲージメントの増加、そして最終的には売上の向上を実現することができます。

CDP導入のメリット・デメリット

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の活用は、企業にとって多くのメリットをもたらしますが、一方でいくつかのデメリットや挑戦も伴います。それぞれ確認してみましょう。

▶︎ メリット

  1. 顧客データの一元化: CDPは異なるソースからの顧客データを統合し、一元化された顧客ビューを提供します。これにより、データの断片化を解消し、より深い顧客理解を実現します。
  2. パーソナライゼーションの強化: 一元化されたデータを利用して、企業は顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされたマーケティング活動を行うことができます。これにより、顧客エンゲージメントとロイヤルティが向上します。
  3. マーケティング効率の向上: CDPはマーケティングキャンペーンの計画、実行、測定を効率化します。正確なデータに基づく意思決定により、マーケティングのROIを最大化することが可能になります。
  4. 顧客体験の向上: 一元化されたデータと高度な分析機能を利用して、顧客に合わせたシームレスな体験を提供することができます。これにより、顧客満足度が向上します。

▶︎ デメリット

  1. 導入コスト: CDPの導入には、初期投資が必要です。特に、大規模な組織では、システムの統合やデータのマイグレーションに関連するコストがかかる場合があります。
  2. 複雑性の管理: CDPを最大限に活用するためには、異なるデータソースを統合し、管理する必要があります。これには、技術的な専門知識と運用上の注意が必要です。
  3. プライバシーとデータ保護: 顧客データを収集し、分析する際には、プライバシー保護とデータ保護の法規制を遵守する必要があります。適切なガバナンスとコンプライアンス体制の構築が求められます。
  4. 組織の変革: CDPを効果的に活用するためには、組織内のプロセスや文化の変革が必要になることがあります。データ駆動型の意思決定を促進し、部門間の協力を強化する必要があります。

CDPの導入は、企業にとって重要な戦略的投資です。そのメリットを最大限に活用するためには、デメリットや挑戦に対処するための適切な計画とリソースが必要になります。

適切なCDPの選び方

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を選択する際には、自社のニーズと目標に適したものを探しましょう。ただ、どのような基準で選べば良いか分からない企業様も多いと思います。その場合は、以下選定項目を参考にしてみてください。

▶︎ 1. データ統合の能力

  • データソースの多様性: 異なるデータソース(CRM、メール、ソーシャルメディア、オフラインデータなど)からのデータを統合できるかどうか。
  • リアルタイムデータ処理: リアルタイムでのデータ収集と処理が可能かどうか、これにより顧客とのインタラクションをタイムリーにカスタマイズできます。

▶︎ 2. データ管理と品質

  • データクレンジング: データの重複排除やエラー訂正など、データ品質を保証する機能があるか。
  • データプライバシーとセキュリティ: GDPRやCCPAなどのデータ保護法規に準拠しており、顧客データのセキュリティを確保できるか。

▶︎ 3. 分析機能とインサイトの生成

  • 高度な分析機能: 顧客セグメント化、予測分析、行動分析など、マーケティング戦略を支援するための分析機能が組み込まれているか。
  • レポーティングとダッシュボード: キャンペーンのパフォーマンスや顧客行動のトレンドなど、重要なインサイトを容易に把握できるか。

▶︎ 4. 活用と運用の容易さ

  • ユーザーインターフェース: 直感的で使いやすいUIを持ち、非技術的なユーザーでも容易に操作できるか。
  • 統合と互換性: 既存のマーケティングツールやシステム(例:メールマーケティングプラットフォーム、広告プラットフォーム)との統合が容易か。

▶︎ 5. スケーラビリティと柔軟性

  • 成長に合わせた拡張性: 企業の成長や変化するビジネスニーズに合わせて、CDPのスケールアップや機能追加が可能か。
  • カスタマイズ: 特定のニーズに合わせてカスタマイズが可能かどうか、これにより独自のマーケティング戦略を実行できます。

▶︎ 6. コストとROI

  • コスト構造: 初期導入費用、月額利用料、追加機能やサービスに対する費用が明確かどうか。
  • 投資対効果: CDP導入による期待されるリターン(ROI)を評価し、コスト対効果が高いかどうか。

これらの考慮事項を検討することで、企業は自身のビジネスニーズに合ったCDPを選択し、効果的な顧客データ管理戦略を実行することができるようになります。選択プロセスでは、具体的なビジネスケースや成功事例を参考にするとともに、ベンダーに対する詳細な質問やデモの要求を行うことが重要です。

主なCDPベンダーについて

こちらでは主要な4つのベンダーを紹介していきます。

▶︎ Arm Treasure Data

おそらく国内のCDPでは最も知名度があり、数多くのエンタープライズに採用実績を誇るスケーラビリティ、セキュリティが強みです。

対応コネクタも幅広く、Salesforce系(Sales Cloud、Marketing CLoud)やMarketo、EloquaなどのMA、Google Anlytics、Domo、Tableauなど国内シェアの高いテクノロジーとの連携設定は簡易に実施できる点が「導入・運用」のしやすさに繋がります。

導入企業

  • 朝日新聞
  • ASKUL
  • KADOKAWA
  • クレディセゾン

など

▶︎ Ensighten

顧客データ管理とは切り離せないプライバシーマネジメントでWeb上での同意管理(コンセントマネジメント)に強みを持ちます。

GDPRを始め、各国法規制において個人情報の取扱いがより一層厳しくなっていく中で、コンセントマネジメントも含め、CDPとして顧客データを管理・活用していくことを目指しています。

グローバル企業においては個人情報の観点での対応も不可欠です。CDPテクノロジーを攻めの施策活用として使う用途とは別にし、個人情報を堅牢に取り扱うという守りのデータ管理ソリューションとして検討することは価値有りでしょう。

導入企業

  • ANA
  • NTTデータ
  • BANDAI

など

▶︎ Rtoaster

レコメンドエンジンに強みを持ち、セグメント毎のコンテンツの出し分け、最適化のためのデータを提供することが得意です。

ただし、判定に利用するための1stPartyデータを収集するためのコネクタは少なく、CSVファイルでのデータメンテナンスの運用が必要になります。

自社がWebパーソナライズを徹底的に実施したいと考える場合には効果が高いですが、簡易に実施してみたいと言う程度であれば過剰性能と言えるかもしれません。

導入企業

  • オンワードデジタルラボ
  • エンジャパン
  • フェリシモ

など

▶︎ Tealium Universal Data Hub

Tealium Universal Data Hubの強みは、タグマネジメントをベースに発展してきたリアルタイムアクションにあります。

Web上での行動を収集し、興味・関心事項の測定を行い「バッジ」と呼ばれるフラグ付けを実施します。

バッジごとのアクションをあらかじめ定義しておくことで、例えば「A商材関連のページをn回見たら関連コンテンツのポップアップを出す」などのシナリオを即時に実施できます。またGUIでの顧客セグメントの作成なども実施できます。

しかしながら、あくまで重きはリアルタイムアクションに置いているため、膨大な静的なデータの管理(属性や取引実績)と、それを軸にしたセグメンテーションはパフォーマンス上あまり得意ではありません。

導入企業

  • NEC
  • 山形銀行

など

CDP導入の成功事例・失敗事例

ここまでの内容から、CDPの基本的な情報から導入することでのメリット、またどのようなツールがあるか把握いただけたと思います。

ただ、一般的・抽象的な内容でもあったため、具体的なイメージは持ちにくかったかもしれません。ということで、ここでは当社がCDP導入を支援した企業様の実例を紹介したいと思います。

成功事例だけでなく失敗事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

CDP導入の総括

本記事では、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の概要から重要性、メリット・デメリットなどを解説いたしました。

CDPは企業が顧客データを一元管理し、パーソナライズされたマーケティング戦略を実現するための強力なツールです。本格的に導入を検討されているようでしたら、当社が導入からマーケティング支援までサポートいたします。

お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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