ROASとは？広告別・業界別の平均目安や計算式など詳しく解説！
ROASとは、広告費に対する売上効率を測る重要な指標です。本記事では、ROASの計算式からROIやCPAとの違い、広告別・業界別の平均ROAS、さらにROASを改善するための具体的な施策について詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
▼この記事でわかること
- ROASとは？計算式やROIとの違いについて
- 広告別の平均ROAS・業界別の平均ROAS
- ROAS改善の施策
ROASとは
ROAS（Return on Advertising Spend）は、広告費に対する売上の効率を示す指標です。広告に投じたコストに対して、どれだけの売上を上げたかを測ることで、広告キャンペーンがどの程度効果的であったかを判断できます。ROASは、マーケティングや広告の分野で非常に重要な指標であり、広告費が効率よく使われているか、または広告の投資対効果が適切かどうかを評価するために使われます。
▶︎ ROASの計算式
ROASは次の式で計算されます。
ROAS = 売上 / 広告費
例えば、広告費に100,000円を投じて500,000円の売上があった場合、ROASは5になります。この場合、1円あたり5円の売上を得たことを意味します。ROASが高いほど、広告に投じた費用に対して高い売上を得ていることを示します。
▶︎ 広告ROASとは
「広告ROAS」とは、特定の広告キャンペーンや広告媒体におけるROASを指します。Google広告やSNS広告、ディスプレイ広告など、さまざまな広告形式に対してそれぞれROASを計測することで、どの広告チャネルが最も費用対効果が高いかを判断できます。広告ROASを追跡することで、広告主はどの広告戦略が最も効果的かを見極め、無駄な広告費を削減し、より効果的な施策に資源を集中させることができます。
▶︎ ROASと広告ROASの違い
ROASと広告ROASは基本的に同じ概念を指しますが、文脈により若干の違いが出てくる場合があります。ROASは広告全体のパフォーマンスを指す場合に使われ、一方で広告ROASは、特定の広告形式やキャンペーンにフォーカスして評価する場合に用いられます。計算式は同じですが、広告媒体やキャンペーン単位での効果を強調したいときに「広告ROAS」という用語が使われることが多いです。
ROASとROI、CPAの違い
広告やマーケティングの効果を測る指標として、ROAS、ROI、そしてCPAはよく使われますが、それぞれ異なる目的や視点で広告のパフォーマンスを評価します。これらの違いを理解することで、広告運用やマーケティング活動をより効果的に分析し、改善できるようになります。
▶︎ ROAS（広告費用対効果）
ROASは、広告費に対する売上を示す指標で、広告の収益性を測るために使われます。主に広告キャンペーンごとの効果を評価するのに適しており、売上にフォーカスしています。
▶︎ ROI（投資利益率）
ROI（Return on Investment）は、広告費だけでなく、事業全体のコストと収益を考慮し、総合的な投資対効果を測る指標です。ROIは次の式で計算されます。
ROI=利益 / 投資総額
利益には広告費以外のコスト（製造費、人件費など）も含まれるため、事業全体の収益性を評価する際に使われます。ROIは長期的な利益やビジネス全体の成長を評価するために有効です。
▶︎ CPA（顧客獲得単価）
CPA（Cost per Acquisition）は、1人の顧客を獲得するのにかかった広告費を示す指標です。次の式で計算されます。
CPA=広告費 / 獲得した顧客数
例えば、広告費100,000円で50人の顧客を獲得した場合、CPAは2,000円です。CPAは広告のコスト効率を顧客獲得に焦点を当てて評価する際に用いられます。
▫︎ 使い分け
- ROAS：広告に対してどれだけ売上が生まれたかを測る。
- ROI：広告を含めた事業全体の投資効率を評価。
- CPA：顧客獲得にかかるコストを把握する。
これらを使い分けることで、広告戦略を多面的に評価し、効果的な改善策を導き出すことができます。
広告別のROAS
広告の種類によってROASは異なります。各広告形式における平均ROASを理解し、ビジネスの目的やターゲットに合った広告を選ぶことが重要です。
▶︎ Google広告の平均ROAS
Google広告（特に検索広告）は、ユーザーが商品に関心を持っているタイミングでリーチできるため、高いコンバージョン率を誇ります。Google検索広告の平均ROASは、4〜6倍程度とされます。Googleディスプレイ広告は、ターゲティング精度に依存するため、平均ROASは2〜4倍とやや低めです。
▶︎ バナー広告の平均ROAS
バナー広告は視覚的なインパクトを与える一方で、クリック率が低く、直接的な売上にはつながりにくいことが特徴です。バナー広告の平均ROASは1〜3倍程度です。主にブランド認知や再ターゲティングに活用されます。
▶︎ 動画広告の平均ROAS
動画広告は商品やブランドの魅力を詳細に伝えるために有効で、特にYouTubeやSNSプラットフォームでの利用が拡大しています。平均ROASは2〜5倍とされています。動画広告は視覚的・感情的なインパクトが強いため、購買行動に影響を与える効果が大きいです。
▶︎ インフルエンサーマーケティングの平均ROAS
インフルエンサーマーケティングは特定のターゲット層への訴求力が高く、信頼性のある口コミ効果が期待できます。平均ROASは3〜8倍とされています。インフルエンサーのフォロワー層やエンゲージメント率に依存するため、適切なインフルエンサーを選定することが重要です。
業界別の広告ROAS
業界によって広告ROASは大きく異なり、それぞれの特性に応じた広告戦略が必要です。
▶︎ 1. 小売業（EC）
ECサイトを運営する小売業では、消費者がオンラインで手軽に購入できる商品を提供しているため、比較的短期間でのコンバージョンが期待できます。平均ROASは4〜10倍です。
▶︎ 2. ファッション・アパレル
ファッション業界では、視覚的な広告が特に有効で、InstagramなどのSNS広告が高い効果を発揮します。平均ROASは3〜8倍です。
▶︎ 3. 美容・健康
美容・健康業界ではリピーター獲得が重要で、サブスクリプションモデルや定期購入が多いため、リターゲティング広告が効果的です。平均ROASは2〜5倍です。
▶︎ 4. SaaS・ソフトウェア
SaaS業界では長期的な顧客価値を重視した広告戦略が必要で、平均ROASは3〜7倍です。試用期間やデモを通じてリードを育成するプロセスが重要です。
▶︎ 5. 教育・eラーニング
教育業界では、受講者の増加を目的とした広告が主流で、平均ROASは2〜6倍です。無料コンテンツやデモ講座を活用したマーケティングが有効です。
▶︎ 6. 不動産・金融
不動産や金融業界では単価が高いため、少数のコンバージョンでも大きな収益を得られます。平均ROASは6〜12倍です。
ROASを指標とした広告運用のメリット・デメリット
ROASを指標として広告運用を行うことで、短期間での収益最大化や広告費の最適化が図れますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。
▶︎ メリット
- 広告キャンペーンの効果を把握できる
ROASを用いることで、広告がどれだけの収益を生み出したかを具体的に把握でき、効果的なキャンペーンに予算を集中させられます。 - 無駄な広告費を削減できる
ROASが低い広告キャンペーンを早期に発見し、無駄な広告費を削減することで、広告運用全体の効率化が可能です。 - 短期的な売上を最大化できる
特に短期間で成果を上げたい場合、ROASを重視することで迅速な収益向上が期待できます。
▶︎ デメリット
- 長期的な利益を見落とす可能性がある
ROASは短期的な売上に焦点を当てるため、長期的な顧客価値やブランド認知の向上といった要素が軽視されることがあります。 - 利益率や総コストを考慮しない
ROASは売上に基づいて計算されるため、コストが高い商品の場合、実際の利益がROASほど高くない場合があります。ROIやCPAといった他の指標と併用することが推奨されます。
▶︎ メリット・デメリットのまとめ
ROASを中心に広告運用を行うことは、効果的な広告戦略の構築に大いに役立ちます。しかし、他の指標とのバランスを取りつつ、短期と長期の目標を区別して運用することが、持続的なビジネスの成長には欠かせません。
広告ROASを改善させるための施策
広告ROASを改善することは、広告費を効果的に使いながら売上を最大化するために非常に重要です。ROASを向上させるには、単純に広告費を削減するのではなく、ターゲティングの最適化やコンバージョン率の向上、広告クリエイティブの改善など、広告戦略全体を見直すことが必要です。以下では、ROASを改善するための具体的な施策をいくつか紹介します。
▶︎ 1. ターゲティングの精度を向上させる
広告が最も効果的に機能するのは、適切なオーディエンスにリーチしたときです。ターゲティングの精度を上げることで、広告費をより効率的に使うことができます。以下の方法でターゲティングを改善しましょう。
- リターゲティングを活用する
過去に自社サイトを訪問したユーザーや、商品をカートに入れたが購入に至らなかったユーザーを対象にしたリターゲティング広告は、コンバージョン率が高く、ROAS向上に大いに貢献します。 - カスタムオーディエンスを活用する
Google広告やFacebook広告などでは、カスタムオーディエンスの設定が可能です。例えば、メールリストを基にしたターゲティングや、既存顧客に似た属性を持つ「類似オーディエンス」を活用することで、購入意欲が高いユーザーにリーチできます。 - 地域や時間帯、デバイスごとの最適化
広告を表示する地域、時間帯、デバイスのパフォーマンスを分析し、効率が悪い部分を除外したり、ROASが高い設定に予算を集中することで、費用対効果を最大化できます。
▶︎ 2. 広告クリエイティブの改善
広告クリエイティブ（画像や動画、コピー）は、ユーザーの関心を引き、行動を促す上で非常に重要な要素です。広告の見た目やメッセージが効果的でなければ、クリック率やコンバージョン率が下がり、結果としてROASも低下します。以下の施策でクリエイティブを改善しましょう。
- A/Bテストを実施する
異なるデザインやメッセージを持つ広告クリエイティブをテストし、どのバージョンが最も高いクリック率やコンバージョン率を生み出すかを確認しましょう。小さな要素の違い（キャッチコピー、CTAボタンの色、画像の選定など）が大きな差を生むことがあります。 - 動画広告を活用する
動画広告は、静止画よりも多くの情報を伝えることができ、特に商品の魅力や使用方法を詳細に伝えたい場合に有効です。適切なシナリオや強力なビジュアルを活用することで、エンゲージメントやコンバージョンを促進できます。 - 感情に訴えるコンテンツを作る
広告メッセージに感情的な要素を取り入れると、ユーザーとの結びつきが強まり、ブランドへの信頼感や購入意欲が高まります。特に動画広告やインフルエンサーマーケティングでは、感情に訴えるストーリーテリングが効果的です。
▶︎ 3. ランディングページの最適化
広告から誘導されるランディングページ（LP）が最適化されていない場合、広告がクリックされてもコンバージョンに繋がらず、ROASが下がってしまいます。以下のポイントに注力してランディングページを改善しましょう。
- ページの読み込み速度を向上させる
ランディングページの読み込みが遅いと、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。ページの読み込み速度を高速化することで、離脱率を下げ、コンバージョン率を向上させられます。 - コンバージョン率を高めるデザインにする
ランディングページ上のCTA（Call to Action）ボタンを目立つ位置に配置し、簡潔で説得力のあるメッセージを表示することで、ユーザーが次のアクションを起こしやすくなります。また、モバイルユーザー向けにページデザインを最適化することも重要です。 - 信頼性を高める要素を追加する
ランディングページに顧客の口コミや事例、第三者認証（例えばSSL証明書や業界の認定マーク）を追加することで、ユーザーの信頼を得やすくなり、コンバージョン率を高めることができます。
▶︎ 4. コンバージョンデータを活用した最適化
広告プラットフォームにはコンバージョントラッキングの機能が備わっており、これを活用することで、どの広告が最も効果的に売上やコンバージョンに貢献しているかを把握できます。これにより、広告運用をデータに基づいて最適化できます。
- コンバージョン測定の精度を上げる
Google Analyticsや広告プラットフォームのトラッキングピクセルを適切に設定し、広告がどのようにコンバージョンに繋がっているかを正確に把握しましょう。これにより、効果が高い広告やターゲット層に予算を集中させることができます。 - 自動入札戦略を活用する
Google広告やFacebook広告では、機械学習を用いた自動入札戦略を利用することで、コンバージョンやROASを最大化することが可能です。これにより、ユーザーの行動パターンを基に最適な入札額を自動的に設定し、無駄な広告費を抑えることができます。
▶︎ 5. リターゲティングとクロスセル・アップセル戦略
リターゲティング広告やクロスセル、アップセルの戦略を導入することで、既存顧客や関心を示したユーザーからさらなる売上を引き出し、ROASを向上させることができます。
- リターゲティング広告を活用する
ウェブサイトに訪れたがコンバージョンに至らなかったユーザーに再度広告を表示することで、再訪問を促し、コンバージョン率を上げることができます。特に、商品をカートに入れたが購入を完了しなかったユーザーに対しては、リターゲティング広告が効果的です。 - クロスセル・アップセル戦略を採用する
購入済みのユーザーに対して、関連商品やより高額な商品を提案することで、1ユーザーあたりの平均売上を増加させ、ROASを改善できます。
▶︎ ROAS改善のためのポイント
ROASを改善するためには、ターゲティングの精度向上、広告クリエイティブの最適化、ランディングページの改善、コンバージョンデータの活用、リターゲティングなど、さまざまな要素に取り組む必要があります。これらの施策を組み合わせて実行することで、広告費用の効率を最大化し、売上の向上を図ることができます。
ROASの総括
ROASは広告運用において、広告費に対する売上を効率的に測定するための重要な指標です。ROASを活用することで、広告キャンペーンの効果を具体的に評価し、効果的な施策に集中することが可能です。しかし、ROASだけに依存するのではなく、ROIやCPAなど他の指標とのバランスを取りながら、短期的な収益向上と長期的なブランド価値の向上を両立させることが成功のカギとなります。ターゲティングの最適化、広告クリエイティブの改善、ランディングページの改善など、多角的なアプローチを取り入れることで、持続的な成長を目指す広告戦略を構築しましょう。
