AIでGoogle広告を最適化!運用の自動化や生成AIの活用方法に企業事例も解説

AIを活用してGoogle広告の運用負荷を軽減しつつ成果を最大化する手法を紹介。学習期間やクリエイティブ最適化、会話型AIなど最新トレンドも解説し、より戦略的な広告運用をサポートします。自動化を活かし、施策でビジネスゴールを達成しましょう。

2025-01-17
Category:
Google広告 AI

▼この記事でわかること

  • AIを活用したGoogle広告の運用方法
  • それを実現するための手順
  • 企業事例

普段からGoogle広告を出稿しているマーケターなら、一度は「AIを使って広告配信を最適化したい」と思ったことがあるはず。こちらの記事では、その方法や成果が上がった事例などを詳しく紹介します。

はじめに:Google広告のAIに対する取り組み

Google広告では、広告主の運用負荷を軽減しつつ成果を最大化するために、AIや機械学習を幅広く活用しています。主な取り組みとしては以下のようなものが挙げられます。

自動入札

自動入札は機械学習を用いた自動入札戦略で、目標コンバージョン単価(CPA)や目標広告投資収益率(ROAS)などを設定しておくと、Google が入札単価を自動で最適化してくれます。オークションごとに膨大なシグナル(ユーザー属性、検索クエリ、デバイス、地域、日時など)を分析して、最適な入札金額をリアルタイムで算出するのが特徴です。

目的

  • 入札作業を自動化し、担当者の工数を削減
  • 様々なシグナルを考慮し、人手では難しい精緻な最適化を実現
  • コンバージョン数や広告投資収益率(ROAS)の最大化

動的検索広告(DSA: Dynamic Search Ads)

動的検索広告はサイト上のコンテンツを Google がクロールし、ユーザーの検索意図に合った広告見出しやリンク先を自動生成する仕組みです。広告主が個別にキーワードや広告文を登録しなくても、関連性が高いと判断された検索語句に応じて広告を生成・配信します。

目的

  • 掲載漏れキーワードへの対応
  • 広告作成の効率化
  • 広範囲な検索需要に対する露出拡大

P-Max

Google のあらゆるチャネル(検索、ディスプレイ、YouTube、Gmail、Discover など)を横断的に配信する新しいキャンペーンタイプです。テキスト広告やバナー、動画などの複数のアセットをアップロードしておくと、機械学習が組み合わせを自動的にテスト・最適化します。

ユーザーのコンバージョン獲得を最適化するための入札も自動化されており、目標達成に向けて効果的なチャネル・配信面を選択して広告を出稿します。

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P-MAXとは?メリットデメリットや他Google広告キャンペーンとの違いについて

目的

  • マルチチャネルでの広告管理を一元化し、運用効率と成果を高める
  • 多彩なクリエイティブを AI が自動最適化して配信
  • 特定の成果指標(例:コンバージョン数、売上など)に合わせて予算を柔軟に配分

クリエイティブの自動生成と最適化

Google はアップロードしたテキストや画像、動画などのアセットを組み合わせ、機械学習を活用して最適なクリエイティブを作成します。

自動生成されたクリエイティブは、テストを通してパフォーマンスが高い組み合わせを優先的に配信し、広告効果を最大化します。

自動推奨

キャンペーンの設定や広告文、キーワードなどに関して、Google が AI を活用して改善提案を行います。

提案内容には「予算配分の調整」「キーワード追加・除外」「入札戦略の変更」などがあり、ワンクリックで適用できるため運用効率が向上します。

自動化によるユーザー行動分析・セグメンテーション

Google 広告では、機械学習によってユーザー行動をリアルタイムに分析し、デバイスや地域、興味関心など多岐にわたるシグナルを組み合わせてセグメンテーションを行っています。

これにより、より「購入意欲が高いユーザー」や「検討段階にいるユーザー」へ適切なタイミングでアプローチすることが可能となります。

Google広告のAI最適化事例

以下より、Google 広告のAI(機械学習)を活用して大きな成果を挙げた事例をいくつかご紹介します。実際には業種や企業規模によって取り組み方や得られる成果は異なりますが、AI を取り入れた運用方法や結果のイメージをつかむ際の参考にしてください。

L’Oréal(ロレアル)の事例

背景

  • 世界最大級の化粧品メーカーであるロレアルは、複数のブランドを抱えており、オンライン・オフライン双方での売上向上を目指していました。
  • デジタルマーケティングを強化する中で、複数のキャンペーン管理や入札調整に膨大な工数がかかることが課題でした。

取り組み

  1. Smart Bidding(自動入札)
    • 目標コンバージョン単価(CPA)を設定し、商品やブランドごとのパフォーマンスに応じて入札をAIが自動調整。
  2. 動的検索広告(DSA)
    • 商品数の多いカテゴリーを中心に取り入れることで、新たな検索需要への取りこぼしを減らしつつ、手動のキーワード追加工数を削減。
  3. 広告クリエイティブの自動最適化
    • バナーやテキストを複数準備し、機械学習で効果が高い組み合わせを自動配信。

成果

  • 入札やクリエイティブの最適化が進んだ結果、コンバージョン数が大幅に増加
  • 運用負荷の削減にも成功し、担当チームはより戦略的な施策開発に注力できるようになった。

Booking.com の事例

背景

  • 世界各国の宿泊施設予約を扱う Booking.com は、膨大な数の物件と多言語対応が必要。
  • 常に新規の顧客獲得と既存ユーザーの再利用を促進するために、幅広い国と地域で広告を配信。

取り組み

  1. Performance Max(パフォーマンス マックス)キャンペーン
    • Google 検索・ディスプレイ・YouTube など複数チャネルで同時配信し、機械学習が配信面とクリエイティブを自動的に最適化。
  2. データドリブン アトリビューション(DDA)
    • 多数のユーザー接点を横断的に分析し、予約完了に至るまでの経路を可視化。
    • 最適な入札・予算配分を AI がリアルタイムで学習し改善。

成果

  • 複数チャネル一元管理の効率化、および CPA の改善 に成功。
  • 広告費用対効果(ROAS)の向上と、新規ユーザー獲得数の増加につながった。

日本国内ECサイト A 社の事例(小売業)

背景

  • 化粧品や日用品など幅広いジャンルの通販サイトを運営。
  • 新規顧客獲得と既存客のリピート購入を伸ばすため、検索広告・ディスプレイ広告を中心に運用。

取り組み

  1. Smart Shopping キャンペーン(現在は Performance Max へ統合)
    • フィード管理を整備した上で Smart Bidding を導入し、商品単位での最適な配信と入札を機械学習に任せる。
  2. レスポンシブ検索広告
    • 広告見出しや説明文を複数パターン登録しておき、AI が自動で組み合わせをテストし最適化。
  3. 自動推奨(Recommendations)の活用
    • Google 広告の管理画面で提示される AI の提案(入札戦略変更・キーワード追加/除外など)を検証しながら導入。

成果

  • CPA が 30% 以上削減 され、コンバージョン率も向上。
  • フィード最適化と連動した広告配信で、人気商品の売上が上がっただけでなく、在庫調整の面でもメリットがあった。
  • 運用担当者の作業時間を大幅に削減し、新商品のキャンペーン企画など戦略的な業務にシフトできた。

B2B SaaS 企業 B 社の事例

背景

  • B2B 向けのクラウドサービスを提供する企業。リード獲得(問い合わせ)が主なゴール。
  • 検索広告を中心に運用していたが、コンバージョン単価(CPL: Cost per Lead)が高騰しがちで安定しなかった。

取り組み

  1. 目標コンバージョン単価(ターゲット CPA)入札
    • 単価の上限を設定しつつ、機械学習が質の高いリードを獲得しやすいユーザーを選別。
  2. ディスプレイ リマーケティングの最適化
    • ウェブサイト訪問履歴や資料請求済みリードへの再アプローチに AI を活用し、適切な頻度・タイミングで広告を出稿。
  3. カスタムインテントオーディエンス
    • 自社サービスに関連するキーワードで検索したユーザー層や、競合製品サイトを閲覧したユーザーを自動的に発見しアプローチ。

成果

  • 過去のリードデータを学習させることで、質の高い問い合わせ数が増加
  • 競合他社のキーワードや関連業界の検索傾向を機械学習が捕捉してくれるため、コンバージョン単価が安定し、全体の予算を効率的に使えるようになった。

AIを活用したGoogle広告の具体的な運用方法

AI を活用した Google 広告運用は、「どのように機械学習を活かすか」がポイントになります。以下では、具体的な運用方法を大きく 6 つのステップに分けて解説します。これらを組み合わせ・反復しながら運用することで、高い成果と効率化が期待できます。

1. 目的・KPI の設定とトラッキング環境の整備

  • ビジネスゴール・KPI を明確にする
    • 例: 新規リード獲得数、オンライン販売数、広告投資収益率(ROAS)、コンバージョン単価(CPA)など。
    • どの指標を最重要視するかを決め、後々の入札戦略(目標 CPA や目標 ROAS)に反映。
  • 正確なコンバージョン計測の設定
    • Google 広告上でコンバージョン(問い合わせ、購入完了など)を正しく計測できるように設定する。
    • Google アナリティクス(GA4)との連携も含め、タグやトラッキングコードを正しく実装する。
  • オーディエンスデータの活用準備
    • リマーケティングリストやカスタムオーディエンス(類似ユーザー、カスタムインテントなど)を作成できるようにしておく。
    • アプリ連携・オフラインコンバージョンインポートなど、ビジネス形態に合わせたデータソースも整備する。

2. キャンペーン設計と配信設定

  • キャンペーンタイプの選択
    • P-Max(パフォーマンス マックス)キャンペーン
      • 検索、ディスプレイ、YouTube、Gmail、Discover など複数チャネルを一元管理し、AI が最適配分してくれる。
    • 検索キャンペーン + Smart Bidding
      • ユーザーの検索意図に応じて広告を配信しつつ、入札は AI に任せる。
    • 動的検索広告(DSA)
      • Web サイトのコンテンツを Google が自動クロールし、関連する検索語句に対して広告を動的生成する。
    • ショッピング広告(ECの場合) + Smart Shopping(Performance Max)some text
      • フィードを元に商品情報を自動生成・配信し、目標売上などに合わせて入札を最適化。
  • キャンペーン構造の設計
    • ビジネスゴールや予算配分などを考慮しつつ、必要以上に細分化しすぎないように注意。
    • プロダクトラインやブランド別、サービス別で分ける場合は、学習が進みやすい程度のデータボリュームを確保する。
  • 広告予算・入札戦略の設定
    • 目標コンバージョン単価(CPA)や目標広告投資収益率(ROAS)を設定すると、AI(機械学習)がそれに合わせた入札調整を行う。
    • 広告予算はキャンペーン全体で学習が進むように、ある程度まとまった金額を確保する。

3. クリエイティブ作成と自動最適化

  • レスポンシブ広告の活t
    • レスポンシブ検索広告
      • 広告見出しや説明文を複数パターン登録し、機械学習が最適な組み合わせをテスト・配信。
    • レスポンシブディスプレイ広告
      • 画像、動画、テキストを複数セットアップし、自動生成される組み合わせをテスト。
  • アセット(素材)の多角的な準備
    • テキスト、画像、バナー、動画などを複数パターン用意し、AI が最適なクリエイティブを選べるようにする。
    • 特に動画は YouTube 配信やショート動画枠にも活用でき、CVR 向上に寄与しやすい。
  • 動的検索広告(DSA)の見出し自動生成
    • サイト上のページタイトルやコンテンツから広告見出しを生成するため、ランディングページのタイトルやメタデータを整備しておく。
    • 商品・サービスごとのページを充実させておくとキーワードの網羅性も高まる。

4. AI を活かした入札戦略の設定

  • Smart Bidding(自動入札)の活用
    • ターゲット CPA: 「問い合わせ単価を 3,000 円以下に抑えたい」など、具体的な目標を設定。
    • ターゲット ROAS: 「広告費 1 円に対して売上を 5 円にしたい(ROAS 500%)」など、利益率重視の場合に有効。
    • 最大コンバージョン: 予算内で最も多くのコンバージョンを獲得。
    • 最大コンバージョン価値: 予算内で売上(もしくは評価額)を最大化。
  • 学習期間とデータ蓄積
    • 新たに入札戦略やキャンペーンを設定した場合、Google の機械学習が安定した成果を出すには 1~2 週間程度の学習期間が必要。
    • 学習期間中は目まぐるしく成果が上下する可能性があるため、一喜一憂せずデータを貯めることが大事。
  • ターゲットの微調整
    • キャンペーン・入札設定がある程度安定してきたら、CPA や ROAS の目標値を微調整しながら、最適な値を探る。
    • 入札戦略の成果を評価する場合は、最低 2 週間以上のデータを集めて比較検証するのが望ましい。

5. オーディエンス活用と自動セグメンテーション

  • リマーケティング リスト
    • サイト訪問者やカート放棄ユーザー、過去のコンバージョンユーザーに対して、適切な頻度とタイミングで広告を出す。
    • Performance Max などでは AI がユーザーごとの興味関心や購入意欲を自動的に予測し、最適な方法で再アプローチする。
  • カスタムオーディエンス / カスタムインテント
    • 特定のキーワードを検索したユーザーや競合サイト訪問者を自動的に発見し、アプローチ。
    • 業界や商品・サービスに合わせたカスタムリストを作り、潜在顧客の発掘に活用。
  • 拡張オーディエンス / 類似ユーザー
    • 既存の顧客データを元に、類似属性や行動傾向を持つユーザーを自動で検索・配信。
    • ターゲットの母数拡大と獲得単価のバランスを見ながら調整。

6. 運用・検証サイクルと最適化

  • レポート分析と改善策の立案
    • キャンペーンや広告グループごとの成果指標(クリック数、CV 数、CPA、ROAS など)を定期的にチェック。
    • 「どのチャネル/どのクリエイティブが成果に貢献しているのか」を分析し、さらに伸ばす施策を検討。
  • Google 広告の自動提案(Recommendations)の活用
    • 入札戦略やキーワード追加、予算配分など、AI が提案してくれる内容を精査し、適用テストを実施。
    • 必ずしもすべての提案を受け入れる必要はないが、参考材料として積極的に活用する。
  • A/B テストの継続実施
    • 広告文やランディングページのクリエイティブなどは、定期的に複数パターンをテストして改善を図る。
    • 検証結果をフィードバックして AI がさらに学習し、次回の最適化精度が上がる。
  • 学習フェーズの理解と柔軟な運用
    • 新しい施策を導入した直後は成果が安定しにくい場合があるため、一定期間のデータ蓄積を待って評価する。
    • もし期待外れの結果になった場合でも、入札目標や広告クリエイティブ、ランディングページの改善を順次行い、AI が学習を継続できるようにする。

ここでのポイント

AI を活用した Google 広告の具体的な運用方法は、

  1. 正確な目標・KPI 設定とトラッキング
  2. キャンペーン設計と配信設定(Performance Max / Smart Bidding / DSA など)
  3. クリエイティブの多様化と自動最適化
  4. 入札戦略の選択と調整(目標 CPA / ROAS)
  5. オーディエンスリストやカスタムオーディエンスを活用した自動セグメンテーション
  6. 定期的な分析・改善サイクルの実行

という流れで進めるのが王道です。特に重要なのは、機械学習に必要な十分なデータ量を確保し、学習期間を見据えた上で施策を検証・微調整していくこと。AI 機能を最大限に活かすためには、精度の高いコンバージョンデータやフィード情報が欠かせません。

また、運用担当者は、細かな作業や入札調整は AI に任せつつ、戦略的な判断やクリエイティブの質向上に時間を注ぐことが成功のカギとなります。

AIを活用したGoogle広告の設定手順

AI を活用した Google 広告の運用を成功させるには、機械学習機能が十分に働ける環境を整え、定期的に検証・改善を行うことがポイントです。以下では、設定開始から運用・改善までの 具体的な手順 をステップごとに解説します。

1. 事前準備(コンバージョン計測とアカウント設定)

  • ビジネス目標・KPI の設定
    • 「問い合わせ数を月に○件獲得したい」「EC で売上を○円達成したい」など、キャンペーンの成功指標を明確にします。
    • 後の入札戦略(目標 CPA、目標 ROAS など)に影響するため、具体的な数値目標を定めましょう。
  • トラッキング環境の整備
    • Google 広告や Google アナリティクス(GA4)で コンバージョン計測(購入完了、問い合わせフォーム送信、電話計測など)を行えるようにタグを設定します。
    • リマーケティング用のタグ(Google Ads リマーケティングタグ / GA4 リマーケティング オーディエンスの作成)も準備しましょう。
  • Google 広告アカウントの構成確認
    • Manager アカウント(旧 MCC) での運用、または単一アカウントでの運用など、どのようにアカウントを管理するか事前に把握しておきます。
    • 既存のキャンペーンがある場合は、重複配信を避けるためにも整理・再構成を検討します。

2. キャンペーンタイプの選択

Google 広告には AI(機械学習)が組み込まれたさまざまなキャンペーンタイプがあります。ビジネスや扱う商品・サービスに合わせて選択しましょう。

  • P-Max(パフォーマンス マックス)キャンペーン
    • Google の複数チャネル(検索、ディスプレイ、YouTube、Gmail、Discover など)を横断的に配信し、AI が最適な配信先・入札・クリエイティブを自動調整します。
    • ショッピング広告(EC 商品のフィード)も含めて一元管理したい場合や、多数の配信面で効率的に集客したい場合におすすめです。
  • 検索キャンペーン + Smart Bidding
    • ユーザーが検索するキーワードに絞って広告を配信し、入札は AI による自動最適化を活用します。
    • 取り扱い商品やサービスが明確かつ検索需要が見込める場合に有効です。
  • 動的検索広告(DSA: Dynamic Search Ads)
    • ウェブサイトの内容を Google が自動でクロールし、関連性の高い検索語句に対して広告見出しとリンク先を動的に生成します。
    • 商品数が多かったり、想定外の検索語句も拾いたい場合に適しています。
  • ショッピング広告(EC サイトの場合)
    • 商品フィードを元に自動で広告を生成し、検索結果やディスプレイネットワークなどに表示します。
    • Performance Max に統合される形で運用を行うことも増えています。

3. キャンペーンの作成と基本設定

3.1 キャンペーン作成

  1. Google 広告管理画面にアクセス → 「新しいキャンペーンを作成」
  2. キャンペーンの目的(販売促進、リード獲得、ウェブサイトのトラフィックなど)を選択し、キャンペーンタイプを選択します。
  3. 広告アカウント全体の目標設定(コンバージョンアクション)に紐づける場合は、必要に応じて「アカウントの目標設定」を確認してください。

3.2 基本的なターゲット設定

  • 地域: 広告を配信したい国・地域、または半径何 km といった範囲指定。
  • 言語: メインとなる言語を設定。
  • 予算: 1 日あたりの予算を設定します。AI は学習にある程度のデータ量が必要なため、最初は目安の予算を十分に確保することが推奨されます。

4. 入札戦略(Smart Bidding)の設定

4.1 入札戦略の選択

  • 目標コンバージョン単価(ターゲット CPA)
    • 「問い合わせ単価を○○円以内にしたい」「1 コンバージョンあたりのコストを抑えたい」場合に。
  • 目標広告投資収益率(ターゲット ROAS)
    • EC サイトや売上重視の場合。「広告費 1 円で ○ 円の売上を目指したい」など。
  • 最大化(コンバージョン / コンバージョン価値)
    • 予算内でコンバージョン数を最大化、またはコンバージョン価値を最大化したい場合。
  • 拡張クリック単価(ECPC)
    • クリック単価(CPC)をベースにしながらも、機械学習を活用して入札をある程度自動調整します(近年は推奨度が下がりつつある)。

4.2 目標の初期設定

  • 過去の運用実績(CV 数・CPA・売上 など)がある場合は、それを参考に目標値を設定。
  • 学習期間(1~2 週間)は、AI が最適化のために試行錯誤するため、成果が安定しにくいことがあります。短期的な結果だけを見て調整しすぎないよう注意しましょう。

5. 広告グループ・広告の設定(クリエイティブ最適化)

5.1 広告グループ(もしくはアセット グループ)の設定

  • テーマや商品カテゴリ別に分割
    • キーワード広告の場合: サービス A 用のグループ、サービス B 用のグループ など。
    • Performance Max の場合: 商品カテゴリやブランドごとに「アセット グループ」を設定して、より細かい成果把握を可能にする。
  • 過度な細分化は避ける
    • AI が学習するためのデータが分散しすぎると、最適化が進みづらくなります。
    • 1 広告グループ(またはアセット グループ)あたり、ある程度のデータを蓄積できるボリューム感を意識しましょう。

5.2 広告(クリエイティブ)の作成

  • レスポンシブ検索広告 / レスポンシブディスプレイ広告
    • タイトルや説明文、画像、動画など複数のアセットを登録し、AI が最適な組み合わせを自動テスト・配信。
  • 動的検索広告(DSA)
    • キーワードを指定する代わりに、ランディングページやサイト構造を元に見出しを自動生成。
    • ターゲット URL の選定や除外設定を適切に行い、誤配信を防止します。
  • 動画アセット(YouTube)
    • Performance Max では動画アセットが推奨されており、ない場合は自動生成されるケースもあります。
    • よりインパクトのあるクリエイティブを作成しておくと効果が上がりやすいです。

6. オーディエンス設定(リマーケティング・カスタムオーディエンス)

  • リマーケティング リストを有効化
    • 過去のサイト訪問者、商品をカートに入れて離脱したユーザーなどに再アプローチするためのリストを作成。
  • カスタム オーディエンス(カスタムインテント / カスタムアフィニティ)
    • 特定のキーワードを検索したり、競合サイトを閲覧したユーザーなどを自動検出し、広告配信を強化。
  • 類似ユーザーの活用
    • 既存リマーケティングリストの類似属性を持つユーザーにも拡張配信を行い、新規顧客を発掘。

7. キャンペーンの公開・学習期間の監視

  • ステータス確認
    • キャンペーンを公開して 24~48 時間後に、インプレッションやクリックが発生しているか確認。
  • 学習期間(Learning Phase)の理解
    • Smart Bidding や Performance Max を導入したばかりのときは、機械学習が最適化するまでに 1~2 週間程度かかります。
    • 期間中はコンバージョン数や CPA が安定しないこともありますが、慌てて目標値を大きく変えすぎないのがポイントです。
  • 設定変更は段階的に
    • 学習が進んでいる途中に大幅な変更(目標 CPA/ROAS の大きな上下、予算の急激な増減)を行うと、学習がリセットされてしまい、安定に時間がかかります。
    • 小さな調整を少しずつ行い、パフォーマンス推移を見極めましょう。

8. 運用・レポート分析と継続的な最適化

  • Google 広告レポート / Google アナリティクスの分析
    • クリック数、コンバージョン数、CPA、ROAS などの指標を定期的に確認。
    • Performance Max では「アセット グループレポート」や「インサイトレポート」を活用し、どのクリエイティブやどのオーディエンスが成果を生んでいるか分析します。
  • Recommendations(自動提案)の確認
    • Google 広告の「推奨」タブで、入札戦略やキーワード追加、クリエイティブ改善など AI による提案が表示されます。
    • すべてを鵜呑みにする必要はありませんが、参考になるものは適宜テストを行いましょう。
  • A/B テストの実施
    • 広告文・ランディングページのパターンを複数用意し、定期的に比較テストを行うことで、より高い成果を生み出すクリエイティブへと更新可能です。
    • テスト結果は機械学習の精度向上にも寄与します。
  • 目標 CPA / ROAS の再設定
    • 運用を続けて成果が安定してきたら、さらに高い目標(より低い CPA、より高い ROAS)にチャレンジするかを検討します。
    • 逆に、目標が厳しすぎると表示回数やコンバージョン数が減る場合もあるため、適宜バランスを確認しましょう。

ここでのポイント

AI を活用した Google 広告の設定手順は以下の 8 ステップで進めるのが基本です。

  1. 事前準備(KPI・トラッキング・アカウント構成)
  2. キャンペーンタイプの選択(Performance Max / 検索キャンペーン + Smart Bidding / DSA など)
  3. キャンペーンの作成と基本設定(地域・言語・予算など)
  4. 入札戦略(Smart Bidding)の設定(ターゲット CPA/ROAS など)
  5. 広告グループ・広告(クリエイティブ)の作成(レスポンシブ広告・DSA など)
  6. オーディエンス設定(リマーケティング・カスタムオーディエンス・類似ユーザー)
  7. キャンペーンの公開と学習期間の監視
  8. 継続的な運用・レポート分析と最適化

また、AI(機械学習)機能を最大限に活用するためには、

  • コンバージョン計測の精度
  • 十分なデータボリューム
  • 学習期間を確保する運用姿勢

が欠かせません。入札や広告の組み合わせ最適化は AI に任せ、人間は ビジネス戦略の立案やクリエイティブ面の強化に時間を注げるようになると、運用効率と成果が同時に高まります。

AIとGoogle広告の今後について

AI(人工知能)を活用した Google 広告は、今後ますます高度化・多様化していくと考えられます。以下では、その主要な方向性や最新のトレンドを踏まえながら、AI × Google 広告の「これから」について解説します。

1. Google 広告全体への AI のさらなる浸透

1-1. AI 主導のキャンペーン管理の進化

P-Max をはじめとする自動化キャンペーンは、すでに検索・ディスプレイ・YouTube・Gmail・Discover などを横断的にAIが最適化してくれますが、これがさらに洗練される見込みです。

また、将来的には、複数のキャンペーンを1つの「AIドライバー」で一元管理し、アセット(テキスト、画像、動画など)をプラットフォーム全体で自動生成・最適化する機能が強化される可能性があります。

1-2. マルチチャネル戦略のさらなる強化

広告媒体は Google のエコシステムにとどまらず、SNS など他プラットフォームとの連携も視野に入れた“オープン”な運用が重要になってきます。Google は自社チャンネルでの機械学習精度を高めながら、他チャネル向けの広告インサイトを提供していくことで、広告主がマルチチャネルで一貫性のあるメッセージを出せる仕組みを構築すると考えられます。

2. Generative AI(生成系AI)によるクリエイティブの高度化

2-1. 自動生成広告クリエイティブの発展

現在のレスポンシブ広告や動的検索広告は、あくまで「登録された複数の要素をAIが組み合わせる」仕組みですが、生成AIの台頭で テキストや画像をAIがほぼゼロから生み出すレベルに進化しつつあります。

近い将来、コピーライティングや動画広告のシナリオ、グラフィックのデザインまで AI が自動生成し、広告主は「AIが提案したクリエイティブを選択・微修正」するだけになるかもしれません。

2-2. ダイナミック動画広告の実用化

生成AI が映像やアニメーションを自動生成する技術がさらに進化すれば、テキストベースの情報を入力するだけで、さまざまなパターンの動画広告を自動制作 → テスト配信 → 最適化するフローが一般的になると予想されます。

3. 会話型AIとの連動

3-1. 広告設定サポートへの応用

ChatGPT のような会話型AIを使って、アカウント構築やキャンペーン設定を行う実験が進んでいます。キーワード選定や広告文の草案、ターゲティング案の提案など、従来はマーケターが手作業で行っていた工程を会話を通じて大幅に効率化できるようになるでしょう。

3-2. 広告キャンペーンの「自動メンテナンス」

「キャンペーンの成果が落ちてきたのですが、どうしたらいいですか?」といった質問をチャットで行えば、設定変更案やクリエイティブの改善提案を即座に提供し、さらにワンクリックで反映できるような仕組みが登場する可能性があります。

将来的には、会話型AIが「広告運用アシスタント」として常駐し、リアルタイムで問題点や最適化ポイントを指摘→即時対応する運用スタイルが当たり前になるかもしれません。

4. データドリブン・アトリビューションの高度化

4-1. クロスデバイス / オフラインデータ連動のさらなる進展

これまでも Google 広告はデバイスやチャネルを横断してコンバージョンを追跡できるようにしてきましたが、さらに オフラインデータ(実店舗の購買など) と連携する取り組みが進む見込みです。

AI がオンライン・オフライン両方の顧客行動を学習し、正確なアトリビューションを行うことで、予算配分や入札がさらに高度化されることが期待できます。

4-2. 予測分析機能の強化

「この設定変更を行うと 2 週間後にはどのくらいコンバージョンが増えそうか」といった予測を AI が算出する機能が強化されるでしょう。運用担当者は、予測結果をもとにキャンペーン調整のシミュレーションを行うなど、より計画的に広告予算を運用できるようになります。

5. プライバシー対応とサードパーティ Cookie 廃止への対応

5-1. サードパーティ Cookie からの脱却

近年、プライバシー保護の流れが強まっており、Chrome も含め主要ブラウザがサードパーティ Cookie の段階的廃止を進めています。Google 広告では、Cookie 以外の方法(ファーストパーティ データやコンテクスチュアル シグナルなど)を AI が組み合わせてユーザー行動を推定し、広告最適化を継続する方針です。

5-2. AI を利用した新しいターゲティング手法

Cookie なしでもユーザーの興味関心を「FLoC(Federated Learning of Cohorts)」や「Topics API」などの新技術で推定して広告配信する仕組みが広がる見込みです。AI はこうした新しい仕組み上でも大量のシグナルを学習し、精度の高いターゲティングを可能にしていくと考えられます。

6. 運用者の役割の変化

6-1. 高度な自動化により「戦略思考」がより重要に

すでに入札調整やキーワード管理の多くは AI に任せられるようになりましたが、これからはクリエイティブ制作やアカウント設計も自動化が進むと予想されます。

運用者は「どの市場を狙うか」「ブランドイメージをどう伝えるか」「顧客のロイヤリティをどう育てるか」など、より上流のマーケティング戦略 に注力する必要が出てきます。

6-2. AI を活かすためのデータ戦略や組織体制構築

AI を最大限に活かすには、信頼性の高いコンバージョンデータや顧客データ が必要になります。そのため、データ基盤やCRMとの連携、フィード管理の整備など、社内体制やデータインフラ整備の重要度がさらに増します。

マーケターは、テクニカルな要素(タグマネジメントやデータ連携など)も理解しつつ、社内外のステークホルダーと連携できる「ハブ」になることが求められます。

ここでのポイント

  1. 自動化のさらなる高度化
    • Performance Max をはじめとする AI 主導のキャンペーン管理が拡張し、広告運用はますます「AI ファースト」にシフトします。
  2. 生成AIの普及
    • テキストや画像、動画を AI がほぼゼロから生成するレベルに達し、クリエイティブ面でも爆発的な効率化が進むでしょう。
  3. 会話型AIとの連動
    • ChatGPT のような会話型AIを活用し、キャンペーン作成や最適化を対話ベースで行うスタイルが一般化していくと期待されます。
  4. データドリブン・アトリビューションの強化
    • オフラインデータの活用やプライバシー保護対応など、新しい環境下でも AI が高度なターゲティングや予測を行うようになるでしょう。
  5. 運用者の役割変化
    • 細かな運用作業は AI が行うようになり、マーケターはビジネス戦略やブランド構築、データ活用体制の構築に注力する必要があります。

AI をめぐる技術革新が続く中、Google 広告もその時代に合わせて“広告体験”や“運用手法”をダイナミックに変化させています。これからの時代に対応するには、AI が活躍しやすいデータ環境を整えつつ、運用担当者はビジネス全体を俯瞰するマーケティング戦略家へと進化していくことが求められます。

総括

AI を活用した Google 広告は、入札やクリエイティブの最適化などの運用負荷を大幅に削減しつつ、精度の高いターゲティングや効果測定を可能にします。実際の運用では、まず正確なコンバージョン計測を行い、適切なキャンペーンタイプと入札戦略を設定したうえで、十分なデータを蓄積して学習期間を見守ることが重要です。AI が十分に学習した後は、細やかな調整を繰り返すことで、より安定した成果と高い広告効果を得られます。

さらに、今後は 生成AI会話型AI との連動、プライバシー保護に対応した 新しいターゲティング手法 などが次々に登場し、広告の自動化と高度化が加速するでしょう。こうした変化に柔軟に対応し、自社のビジネスに最適な AI 活用を模索することが、これからの Google 広告運用では欠かせません。

最終的に、運用担当者は 「戦略思考」「クリエイティブな発想」 により多くの時間を割けるようになるため、ビジネスゴールやブランド構築に対して、これまで以上に深く取り組むことが可能になります。今こそ AI の力を最大限に活かし、成果を一段と高めるマーケティング施策を実現していきましょう。

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