GA4のUser-ID設定やレポート確認方法を解説!そもそも取得するメリットとは?
GA4のUser-ID機能について、メリット、設定方法、トラブルシューティング、レポートの活用法を徹底解説!クロスデバイス分析やユーザー行動の追跡を最適化する方法をわかりやすく説明しています。GA4初心者にも役立つ内容をお届けします。
▼この記事でわかること
- User-IDを設定するメリット
- User-IDの設定方法
- レポート確認の方法やエラーと感じた際の対処法
GA4のUser-IDとは?
GA4のUser-IDについて簡単に説明します。
User-IDの機能でできること
Google Analytics 4(以下、GA4)のUser-ID機能とは、サイトやアプリのログインユーザーに固有のIDを付与・計測する仕組みです。これによって、デバイスやブラウザを跨いて同一ユーザーを追跡しやすくなり、クロスデバイス分析やユーザー単位での行動分析が可能になります。
例えば、ECサイトでは、ユーザーがスマートフォンで商品を閲覧し、その後PCでログインして購入手続きを行う場合、User-IDを導入していれば「同じユーザーが商品を購入した」として行動を一貫して追跡できます。また、動画配信サービスでは、スマホで番組を途中まで視聴し、テレビで続きから再生する行動も一つのユーザー行動として統合的に把握できます。
ユーザーがスマホで一度アクセスし、後日PCでログインするケースでも、User-IDを導入していれば「同じユーザーがアクセスした」としてまとめて把握できるようになります。
UAとの違い
それまでのUniversal Analytics(UA)でもUser-ID機能はありましたが、GA4ではデータモデルが大きく変わり、イベントドリブンの計測に最適化されています。主な違いとしては以下の点が挙げられます。
データモデルの進化
UAではセッション単位で解析する仕組みでしたが、GA4ではイベント単位でデータが計測されます。User-IDによる計測も、GA4ではユーザーの行動をより詳細に分析可能です。
クロスプラットフォーム分析が容易
ウェブサイトだけでなく、アプリも含めた計測が前提となっているため、User-IDの活用範囲がより広がっています。
User-IDを利用するメリット
User-IDを活用することで得られるメリットは以下の通りです。
クロスデバイス追跡
同一ユーザーが複数のデバイスやブラウザでアクセスした場合でも、重複を除外して一貫したユーザー行動が把握できます。
冒頭でも紹介しましたECサイトの例や動画配信サービスの例もそうですが、その他にも旅行予約サイトであれば、スマホでホテルを探し後日タブレットで予約する行動も、一つのシームレスなユーザー行動として分析可能になります。
正確なユーザー理解
セッション数ではなく「ユーザー視点」での分析が可能なため、リテンション率やライフタイムバリュー(LTV)といった指標をより正確に捉えやすくなります。
パーソナライズの強化
一人ひとりのユーザーの動きをトラッキングすることで、マーケティングオートメーションやパーソナライズ施策への応用がしやすくなります。
GA4のUser-ID設定方法
下記より、User-IDの設定方法を確認しましょう。
実装の具体的なステップ(GTMとの連携方法)
GA4でUser-IDを設定する際には、Google Tag Manager(GTM)との連携が最も一般的です。大まかな流れは以下の通りです。
- GTMで新規タグを作成 タグタイプを「Google Analytics: GA4 設定」にし、測定IDやタグ名を入力します。
- User-ID用の変数を作成 ログインユーザーのIDを取得するために、GTMの変数(例:JavaScript変数、Data Layer変数など)を作成します。
- カスタム定義の設定 GA4側で、User-IDを格納するパラメータとしてuser_idを設定します。
- タグにUser-IDを渡す 手順2で作成した変数を、GA4 設定タグやイベントタグの「ユーザーのプロパティ」に追加し、user_idとして送信します。
- プレビューモードで動作確認 GTMのプレビューモードで実際にUser-IDが渡されているか確認し、問題なければ公開します。
User-IDを渡すタイミングと取得方法
User-IDを渡すタイミングは、ユーザーがログインした時点が一般的です。ログイン完了のタイミングでUser-IDをData Layerにプッシュし、それをGTMで拾ってGA4に送信します。
- ログイン完了直後: dataLayer.push({'user_id': 'XXXX'});のようにデータレイヤーにIDを渡します。このコードは、Webアプリケーションで標準的に使用される方法です。ただし、必要に応じてXXXXを動的に生成されたユーザーIDに置き換える必要があります。
- ページ遷移時: ログイン状態を確認して、User-IDを変数として取得し送信します。この場合、セッション情報を活用して同じUser-IDを維持することが重要です。例えば、クッキーやローカルストレージにUser-IDを保存し、適切なタイミングで参照するようにカスタマイズできます。
これらの方法を組み合わせることで、ログインセッションが途切れることなく、正確なデータ収集が可能になります。
User-IDのテストやデバッグ方法
User-IDが正しく機能しているかどうか確認する方法をお伝えします。
GTMのプレビューモード
タグが正しく発火しているか、変数にUser-IDが正しく取得されているかをリアルタイムで確認可能です。
また、GTMのプレビューモードで変数がundefinedと表示される場合は、以下を確認してください:
- データレイヤーの構成: dataLayer.pushが正しいタイミングで実行されているか、またはデータ構造に誤りがないかを確認します。
- 変数の設定: GTMで設定した変数名が、データレイヤーで使用しているキーと一致しているかを確認します。
- タグの発火条件: タグが期待するイベントやページで正しく発火しているかを見直します。
これらを確認しても問題が解決しない場合は、GTMのデバッグコンソールで詳細なエラー情報を確認し、必要に応じてデータレイヤーや変数を修正してください。
GA4のデバッグビュー
GA4側の「デバッグビュー」で、受け取ったUser-IDがユーザーのプロパティに紐づいているかをチェックします。
レポートの反映待ち
GA4のレポートでは一部リアルタイムで見られますが、完全な集計データには時間がかかる場合があります。
User-IDを活用した分析やレポート確認の方法
User-IDを設定してデータが蓄積されると、クロスデバイスをまたいだユーザートラッキングや、LTV(ライフタイムバリュー)の算出など、より詳細な分析が可能になります。具体的には以下のようなレポートを確認しましょう。
ユーザー属性と行動フロー
User-IDを使うことで、デバイス別・ブラウザ別に行動が分散してしまう問題を解消し、個々のユーザーがどのようにサイトを利用しているのか把握しやすくなります。
エンゲージメントレポート
ユーザー単位でのページビュー数やイベント回数を確認できるため、高エンゲージメントユーザーを特定しやすくなります。
コンバージョンパスの最適化
ユーザーが複数デバイスでアクセスする場合のコンバージョン経路を正確に把握し、アトリビューション分析や広告配信の最適化に役立てることができます。
FAQ
GA4にてUser-IDが正しく機能していないと感じたら、下記内容をご確認しましょう。
User-IDが反映されない、レポートで数値が出ない
- 設定ミスがないか確認 GA4 設定タグやイベントタグで、user_idというユーザーのプロパティを渡しているかチェック。
- プレビューモードでの検証 GTMのプレビューモードやGA4のデバッグビューで、実際にUser-IDが送信されているかリアルタイムで確認し、エラーや見落としがないかを探ります。
- タイムラグに注意 レポート画面で反映されるまでに、最短で30分程度のタイムラグがあります。短期的に数値が出ない場合、しばらく待ってから再度確認しましょう。
User-IDが分断してしまう(ログイン前後のID不一致)
- ログイン前のアクセスとログイン後のアクセスが別ユーザーとして計測されるケースがあります。
- ログイン完了時にきちんとUser-IDをData Layerやタグに渡すか、継続して同じUser-IDが使われる状態になっているかを確認しましょう。
- ID発行のタイミングやクッキー切れなど、セッション管理の設計も見直す必要があります。
GTMとの連携の不具合
- タグの発火条件が誤っている、あるいはイベント名・変数名が正しく設定されていないことが原因で、User-IDが送信されないケースがあります。
- 変数がundefinedになっていないか、デバッグビューでこまめに確認するとトラブルシュートが容易です。
- サイト改修やログインシステムの更新など、仕様変更が入ったタイミングでタグ設定を見直すのも効果的です。
全体の総括
GA4のUser-ID機能を正しく実装・運用することで、クロスデバイスやクロスプラットフォームでのユーザー行動を統合的に把握できるようになります。これにより、ユーザー単位の継続率やLTVの分析、さらにはアトリビューションやパーソナライズ施策など、より高度なマーケティングが実現可能です。
本記事で解説した実装手順や注意点を押さえ、GTMでのタグ設定からテスト・デバッグまでを丁寧に行うことが、GA4 User-IDの最大活用につながります。データドリブンなマーケティングを推進するうえでも、User-IDは欠かせない機能となるでしょう。